サックスの低音が出にくい原因と解決方法を徹底解説!
あなたはこんな悩みを抱えていませんか。
- 低音域のド〜シbが出ない(高音域に裏返ってしまう)
- 低音が震える(揺れてしまう)
- 低音の立ち上がりが遅い
今日は、サックスの低音が出にくい原因と改善策をご紹介します。
この記事を読めば、簡単に最低音の『シb』まで出せる方法が分かります。
本記事の目次
そもそも低音が出にくいのはなぜ?
サックスは低音域のド#/レbからラ#/シbまでが出しづらいです。
その理由は、サックスの音が鳴る構造を知れば分かります。
サックスは、マウスピース→ベルに進むにつれ、管が段々太くなる形をしています。
そして、マウスピースに息を入れると、キーが開いてる箇所から音が出る構造になってます。
実際に真ん中のドから半音ずつ下げてみると、一つずつキーが締まってくのが分かるでしょう。
つまりこれは、締まれば締まるほど、より多くの息を必要とする事を意味するんです。
中音域(シやド付近)はマウスピース側に近い部分で音が鳴ってるため、短い管の長さで簡単に音が出ちゃうんですよね。
一方の低音ド#〜シbは、マウスピースから下まで全てのキーが締まってる状態。
ベルの先まで息を届けなければならず、音を出す難易度が高くなります。
特にU字部分は強い空気抵抗を持っており、それに負けない息を入れなければ、力強い音が出ません。
低音の練習方法
実は低音を攻略する方法があります。
これから、効果抜群な『低音の練習法』を2つご紹介します。
1.音程を徐々に下げてく練習法
いきなり低音を出すのが難しいという人は、出しやすい音から順に音程を下げてくのがオススメです。
この練習を繰り返せば、簡単に低音の鳴る感覚が掴めます。
練習例
低音のミまでは問題なく吹けるけど、その下のレ#から先が出にくいという人は、以下の順に音を下げてみましょう。
②ミ→レ#→レ
③ミ→レ#→レ→ド#
④ミ→レ#→レ→ド#→ド
⑤ミ→レ#→レ→ド#→ド→シ
⑥ミ→レ#→レ→ド#→ド→シ→シb
①を問題なく吹けたら②という順番で、一つずつスラーで繋げます。
上記は半音階ですが、全音ずつ下げてもOK。
アンブシュアと舌の位置は変えずに、指だけを下に降ろすイメージで吹いてください。
この時のポイントとして、低音が出た際の息の量、スピードを覚えておきます。
その覚えた感覚のまま、今度は一発で低音が出せるか試してみましょう。
2.息を0から増やし、音の境界線を掴む練習方法
少しずつマウスピースに入れる息を増やし、目的の音が鳴ったタイミングでキープする練習方法です。
ここでは息を出し過ぎたり、逆に息が足りずに音が鳴らない失敗を防ぎ、最低限のエネルギーで効率よく音を出す感覚を身に付けます。
出したい音に対して、どれくらい息の量・スピードが必要なのか把握しましょう。
練習例
試しに低音のシで練習してみます。
まずはマウスピースに息を吹き込み、0から徐々に息の量を増やします。(同時にスピードもUP)
そして、シの音が鳴った境界線でそのままキープしてください。
この時の音量はp(ピアニッシモ)になってるのが正です。
境界線より大きい音にならないようにしましょう。
低音を出すコツは?
続いては、うまく低音を出すコツをご紹介します。
3.全てのキーを正確に押さえる
低音は多くのキーを押さえるため、以下のミスが起きやすいです。
- 全てのキーがしっかり締まっていない
- サイドキーに触れ、蓋が開いてしまう
- テーブルキーが適切な箇所に押されていない
今一度、運指を確認し、キーが適切に押されてるか、無駄に開いてないか確認しましょう。
ちなみに、テーブルキーの小指はコントロールしづらいですが、力づくで押すのはNG。
テーブルキーの上に小指を置いて、そのまま腕をすとんっと落とせば、過度な力が必要なくなります。
手首・腕・手の平に力を分散し、指だけに頼りすぎないのが楽な押さえ方です。
人によって手の大きさが異なるので、あとは自分が無理なく押せる場所を見つけることも重要ですよ。
4.いきなり息を入れない
低音は以下の順番で出すのが理想的。
- お腹を膨らました状態で腹筋に力が入る
- アンブシュアを作る
- マウスピースに息を入れる
いきなり3から始めると、未完成なアンブシュアのまま喉の力だけで息を吐いてしまい、理想の低音が出せなくなります。
低音は大きな息を必要とするため、あらかじめ体の状態を準備しておきましょう。
お腹→アンブシュア→マウスピースに息
上記3ステップを素早く、正確に出来るよう練習してください。
5.息のスピードを速める
前半で説明した通り、サックスというのはベルの先で低音が鳴ります。
管が長いため、素早いスピードで息を入れてあげないと、初っ端から低音が出ません。
ただし、勢いよく息を入れすぎて『破裂音』になるのはNG。
音量が上がらないよう気をつけながら、素早いスピードで大量の息を送りましょう。
6.低い声を出すイメージで喉を開く
よくネットなんかで、低音は『お』の形をイメージして吹くとか、暖かい息を入れるという説明がされてます。
これらは全て喉を開くために言われてることで、喉さえ開けばイメージは何でも良いわけです。
他にも地声を出す、ピンポン球が口の中に入ったイメージなど色々あります。笑
ちなみに筆者は舌の奥(舌根)を引っ込めて、顎を下げるやり方で喉を開いてますね。
この中で自分に合いそうなのをチョイスしてみてください。
7.薄いリードを使う
基本的に薄いリードの方が、低音が出やすくなります。
3.5で出にくい人は3を、3で出にくい人は1/2を使うのがオススメです。
サックス初心者は1/2がベスト。
ただし薄いリードは豊かな音色が出にくいため、慣れてきたら3を試すと良いでしょう。
リード選びは以下記事をご参考に。
8.下向きに音を入れる
低音は下向きに息を入れると、音が出やすいです。
理由は冒頭で説明した通り、低音の出る箇所が真下(ベルの部分)だから。
まっすぐベルの先まで息を飛ばすイメージで、低音を出してみてください。
ちなみにオクターブが出る箇所は上なので、高音は上向きに息を入れます。
9.アンブシュアを締め過ぎない
低音が出ないと悩んでる人ほど、アンブシュアをキツく締め過ぎな傾向にあります。
リードの振動が大きいほど低音が出るため、アンブシュアはなるべく緩く締めましょう。
ただし、緩すぎて息漏れするのはNG。
左右のアンブシュアはしっかり締めて、下唇のリードに当たる部分をやや弱めにするのが効果的ですよ。
アンブシュアのやり方は以下記事が参考になります。
楽器の調整が原因なら修理してもらおう
低音は一度に多くのキーを押さえる事から、楽器が故障した際に影響が出やすいです。
1つでもタンポに隙間があると、音が出にくく鳴ります。
本記事で説明した練習法を実践しても低音が出ないという方は、楽器を疑ってみましょう。
他の正常なサックスを吹いたり、上級者に怪しい楽器を吹いてもらえは、原因の切り分けが可能。
周りに上級者がいない場合、楽器屋さんに診てもらうことをオススメします。(修理代は5000円前後)
修理・調整については『サックスの調整ってどうやるの?気になる料金・依頼方法を解説』を参考にしてください。
まとめ
最後に低音を出す方法をまとめます。
- 出しやすい音からスラーで降りていく
- 最低限、音を出すのに必要な息の量・スピードを掴む
- キーの押し方が合ってるか見直す
- お腹→アンブシュア→マウスピースの順で出す
- 低音になる程、ベルの先に届ける
- 喉が開くのを自分がやりやすいイメージでやってみる
- 初心者は1/2リードがベスト
- 下向きに音を飛ばす
- アンブシュアの締めすぎに注意
上記のポイントを掴めば必ず音が出るはずです。