正しいサックスのアンブシュアとは?噛み過ぎのクセを解消せよ!
あなたはサックスのアンブシュアに関して、こんな悩みを抱えていませんか?
- 口周りの筋肉が疲れる
- 下唇が痛くなる(噛みすぎが治らない)
- 高音を出にくい
- 顎が梅干し型になってしまう
スムーズに音を出せない状態が続くと、自分のアンブシュアが合ってるか不安になりますよね…。
でも安心してください。
本記事を読めば、アンブシュアの悩みが解消されます。
今日はサックスをやるなら知っておくべき『アンブシュアの基本』について、分かりやすく解説します。
本記事の目次
そもそもアンブシュアって何?
マウスピースを加えた時の口の形を『アンブシュア』と言います。
アンブシュアは大きく3種類。
各々の特徴を見ていきましょう。
シングルリップ
下唇を下の歯に巻き付けた状態で、マウスピースに加える形を『シングルリップ』と呼びます。(上の歯は直接、マウスピースに当てる)
- 音に均一(均等)性があり、まとまりやすい
- 一番音が出やすく、クリアな音色になる
- 顎に力が入りやすい
- 吹奏楽でよく使われる
シングルリップは3種類のアンブシュアの中で、一番オーソドックスなスタイル。
低音から高音まで無理なく音を出しやすく、安定した音色をコントロール出来ます。
サックス初心者はまず、シングルリップをマスターして、アンブシュアの土台を固めるのがオススメです。
その理由は後ほど説明します。
ダブルリップ
下唇同様、上唇を上の歯に巻き付けた形を『ダブルリップ』と言います。
シングルリップでは下唇だけ巻きますが、ダブルリップは上下両方です。
- リード・マウスピースの振動が損なわれない
- 自分の頭で音色を聴き取りやすい
- 音程を安定させづらい
- 高音域やフラジオを吹くと、上唇が痛くなる
- 歯がマウスピースに接触しないため、マウスパッチが不要
ダブルリップは息のコントロールが非常に難しいです。
ただし音色は綺麗になるメリットもあります。
シングルリップに慣れてきたら挑戦してみると良いでしょう。
ファットリップ
上の歯を直接マウスピースに置き、下は唇だけで固定する形を『ファットリップ』と呼びます。
下の歯は浮いたままリードに触れません。
上下ともに唇を巻かない状態で、そのまま「ハムッ」と加えるのです。
- シングルリップより深い位置に加える
- 音が荒れやすいので、下唇のコントロールが必要
- リードとマウスピースに対してふわふわ(不安定)
- 自由に顎が動くので、柔軟にアンブシュアを変えれる
- 高音域(フラジオ)が痩せにくい
- 太くて柔らかい音色を出しやすい
ファットリップは、ジャズ・フュージョン・ポピュラーを演奏する人に多いアンブシュア。
吹奏楽では顎にシワを寄せるのがNGとされてますが、ファットリップは見栄えを気にしなくてもOKです。
ファットリップを実践すれば、自然と梅干し型(顎にシワが寄る状態)になるので。
基本的なアンブシュアを作るコツ
ダブルリップ・ファットリップは音をコントロールしづらいため、初心者にオススメしません。
基礎の出来てない人がいきなり上級者向けのアンブシュアをやると、間違った奏法が身に付くだけ。
ここでは初心者にオススメな『シングルリップ』の基本をご紹介します。
まず上の歯を、マウスピース先端から10mm〜15mmくらいの位置に置きましょう。(人によって歯型、骨格が異なるためあくまで参考値)
アンブシュアはストローを吸う時みたいに、「う」か「ゆ」の形で加えてください。
下顎を前に出過ぎないよう、上下の歯を大体同じ位置に合わせるのがコツです。
この際、強引に歯の力を加えず、唇をリラックスさせましょう。
その代わり、左右の両端からしっかりアンブシュアを固定します。
人間は普段食事する時に『噛む力』が鍛えられてるため、意識しなくても上下に力が入ります。
一方で両端(左右)は弱いので、最初のうちは左右を意識し続ける必要があるのです。
アンブシュアの練習(トレーニング)方法は?
まずはマウスピースに息だけを、めい一杯吹き込みましょう。(音を鳴らさない!)
この際に音が鳴ってしまう人は、リードの噛みすぎ。
上下にはあまり力を入れず、楽器に息だけを流し込むイメージです。
この練習を繰り返す目的は、アンブシュアの噛みすぎを無くすため。
息が足らないのに気づかず、無理やり顎を力ませて鳴らそうとする初心者が多いですね。そもそも息をしっかり入れてあげないと、いくらアンブシュアを意識しても音は鳴りません。
十分な息が入ってれば、あとは少ない力でアンブシュアをコントロールするだけ。 その感覚をまずは掴みましょう。
息だけを入れることが出来たら、今度は音を出す練習もします。
アンブシュアに頼り過ぎず、息の量・スピードだけで、音色をコントロールするのがコツです。
口周りの筋肉が疲れるのを解消するには?
初級者は、上下に噛みすぎてなくても、口周りが疲れると思います。
それは、アンブシュアを形成する筋肉が付いてないのが原因。
吹き続ければ次第に疲れなくなるので、あまり心配する必要はありません。
ただし下唇に歯型が付くのは、力の入れすぎです。
特に高音域は力が入りやすいのですが、なるべく顎の力を使わず息のスピードだけで高音を出してください。
腹式呼吸を意識して腹の底から早い息を送り込めば、アンブシュアの力に頼り過ぎなくて済みます。
高音の出し方は以下記事を参考に。
アンブシュアは『目的』によって変えよう
これまで『基本的なアンブシュア』を解説してきましたが、実はアンブシュアに正解はありません。
自分の目標とする音さえ表現出来れば、アンブシュアの形なんて何でも良いのです。
ところでサックスは、ジャズ・クラシックなど幅広いジャンルで演奏されてますよね。
つまりそれだけたくさんの音色が存在するということなので、アンブシュアの正解を一つに絞るなんて不可能。
1000人のプレイヤーがいたら1000通りのアンブシュアがあります。あなたもぜひ、自分『オリジナルなアンブシュア』を見つけて欲しいと思います。
自分にとって理想のアンブシュアを見つけるには、色々試す必要があるでしょう。
例えばですが・・・
- シングルリップでマウスピースの深さを変えてみる
- ダブルリップで力加減を変えてみる
- 息の方向を変えてみる
こんな感じで色々試して、それぞれどんな音が出るのか把握するべきです。
また吹奏楽とジャズでは、アンブシュアが別物だという事実も覚えておきましょう。
ネットや教則本に書かれてるアンブシュアの解説のほとんどは、吹奏楽向きのものです。
具体的にはこんな解説が書かれてるんですよね。
- 顎に梅干しを作らない
- 顎を下向きにビシッと伸ばす
- 口角を上げる
あなたが吹奏楽で合唱しなければならない場合、あまり自分勝手にアンブシュアを変えると悪影響になるかも…。
逆に独学でサックスをやってる人なんかは、教則本通りのアンブシュアを意識しすぎるのはオススメしません。
先ほど言ったように、自分が好きな音・好きなプレイヤーの音を出すために色々試してみると良いと思います。
自分にとって良い音を出すための手段の一つがアンブシュアなので、あまり難しく考える必要はないですよ。
まとめ
唇を上下を噛みすぎず、両端さえしっかり締まっていれば、アンブシュアはそこまで意識しなくてOK。
また下唇を噛みすぎて困ってるという人は、ブレスが足りない可能性が高いので、まずは楽器に息が足りてるかチェックしてみるべきです。
ちなみにサックスを吹く時の『イメージ』は非常に重要ですね。
出したい音をイメージして吹いた結果、自然とアンブシュアもそうなってることが多いです。
技術的な事だけに偏り過ぎず、「自分はどんな音を出したいのか」という視点を忘れないで下さい。