マイケル・ブレッカーの名盤(おすすめアルバム)を紹介
マイケル・ブレッカーの名盤(おすすめアルバム)を紹介
MICHAEL BRECKER
マイケル・ブレッカーに対しては、以前はそれほどよい印象を持っていなかった。
別にフュージョン・アルバムにやたらと顔を出しているのが悪印象の理由ではない。
そうではなくて、彼の奏法が明らかにコルトレーンの延長線上にあるにもかかわらず、コルトレーンにあっては過剰とも思えるほどだった音に対する感情移入が、ブレッカーにはきれいさっぱりと欠落していたからだ。
それが、この彼にとっては遅すぎたともいえる初リーダー作では、いままでにない音楽的な充実が見られる。
もちろん急に情緒たるテナーマンに変身したわけではないが、音に深みと存在感が増したのはまちがいない。
自分の作品なので本音を出してきたのがよかったのだろう。
【アルバム名】
マイケル・ブレッカー
【収録日】
1987年
【パーソネル】
マイケル・プレッカー(ts)パット・メセニー(g)ケニー・カークランド(key)チャーリー・ヘイデン(b)ジャック・デジョネット(ds)
THREE QUARTETS CHICK COREA
初リーダー作で彼を見直したので、少し前のものも聴き直してみたら、
このアルバムなんかはチック・コリアがリーダーなのだが、
アルバム全体の印象はブレッカーのテナーが支配している。
フュージョンのスタジオ・ミュージシャン歴が長いブレッカーが、ストレート・アヘッドなジャズで実力を示した好例といえるだろう。
チックのソロが軽く流れるのに対し、ブレッカ一のテナーが意外に重量感のある粘りを見せているのもおもしろい対照だ。
こうしてみると僕のブレッカーに対するこれまでの評価も、無意識のうちのフュージョン・プレイヤーに対する偏見だったのかもしれない。
確かにフォー・ビートしかやらなくてもダメなミュージシャンはいくらでもいるのだ。
【アルバム名】
スリー・カルテッツ/チック・コリア
【収録日】
1981年
【パーソネル】
チック・コリア(p)マイケル・ブレッカー(ts)エディ・ゴメス(b)スティーブ・ガッド(ds)
CITYSCAPE CLAUS OGERMAN
思うに、マイケル・ブレッカーはコルトレーンの音楽を研究したが、彼の過剰な精神性には少々へきえきしたのではなかろうか。
だから、ブレッカーは自分の演奏に心情を移入することには少し用心深くなったのだろう。
あるいは単に彼の美意識がむき出しの自己主張を嫌っただけなのかもしれないが、ともかく表われた音楽はよく言えばクール、悪く言えば無機的だった。
しかしおもしろいことに、そういった突っぱりが時々ポロッと外れて、彼の意外な情緒性が顔を出すことがある。
このアルバムなどはクラウス・オガーマンの都会的なリリシズムがブレッカーの資質に合ったのか、思いのほかロマンチックな面を見せている。
【アルバム名】
シティスケープ/クラウス・オガーマン、マイケル・ブレッカー
【収録日】
1982年
【パーソネル】
クラウス・オガーマン(comp.arr) マイケル・ブレッカー(ts)ウォーレン・バーンハート(key)エディ・ゴメスorマーカス・ミラー(b)スティーブ・ガッド(ds)